いしのまニュース |
Vol.12
お題「ホームランボールを拾ったら」
大谷翔平選手がまたもや驚異的な記録を達成しました。
メジャーリーグでは6人しか成し遂げていない「40-40」(ホームランと40盗塁)を、
しかも史上最速で達成し、同じ日に記録を達成したのはまさに漫画のような出来事です。
この大谷選手のホームランボールを拾った方がオークションに出品される予定で、
予想される落札価格は5桁ドルの数字に達するとのこと。まさに棚ぼたの幸運と言えるでしょう。
さて、この記念ボールを拾い、売却した場合の税金についての問題が今回の話題です。
「ホームランボールを拾って売ったら二回課税されるのか/浅妻章如」というタイトルの書籍によれば、
拾った物は「一時所得」として扱われ、さらに売却することで「譲渡所得」が発生します。
「拾って」「売る」という二つの行為に、税金が二重にかかるのかどうかが問題となっています。
一時所得とは、営利を目的とする継続的な行為から生じたものでない一時的な所得で、所得税法第34条1項に基づきます。
つまり、拾ったボールが「一時所得」として扱われる場合、その収入金額から必要経費(特にない場合は0円)を
引いた額が一時所得となります。仮にボールの価値が10万ドル(約1,460万円)とした場合、
一時所得は1,460万円から基礎控除額の50万円を引いた1,410万円になります。
一方で、このボールを売却することで発生する「譲渡所得」は、資産の譲渡によって生じる所得です。
譲渡所得は、売却額から取得費を引いた額が課税対象となります。
もし取得費が0円であれば、譲渡所得も1,460万円から基礎控除額の50万円を引いた1,410万円となります。
つまり、拾ったときと売ったときの両方で税金がかかるということになります。
この二重課税の問題に対しては、否定論と肯定論が存在します。
一時所得と譲渡所得の両方に課税するのは矛盾しているとする意見もあれば、
税法上は両方の課税が認められているとする意見もあります。
現行法上、どちらも取り得るとされており、
具体的な事例が裁判に持ち込まれた場合にどのように判断されるかは注目されるところですが、
今回拾った方はアメリカ人ですので、日本税制の適用外なのが残念です。
今後の大谷選手のさらなる活躍を楽しみにしたいですね!